認知症に至るまで
認知機能はさまざまな原因により段階的に低下していきます。まず、主観的に異変を感じるようになる主観的認知機能障害(SCI)、次に独立した日常生活を営むことに支障はないものの、以前の本人が保っていたレベルと比較して悪化している状態である軽度認知機能障害(MCI)となります。MCIの段階では、親族・知人が変化を感じるようになりますが、介護の手はそれほどかかりません。
更に認知機能が低下し認知症となると、日常生活や社会生活に支障をきたすようになり、介護がなければ1人で生活することはままならなくなります。

早期発見・予防が重要
現状、日本の医療保険制度の範疇でアルツハイマー病の発症を予防することは出来ません。新たに登場した治療薬ですら、対象はMCI(認知症の前段階)からで、薬の飲み忘れ、スケジュール管理や金銭管理のミスが生じるようになってからです。しかしアルツハイマー病による脳内の変化は発症の10〜20年前からすでに始まっています。60代、70代でも精力的に仕事を続けたい・人生を楽しみたいと考えた時、発症するかもしれないアルツハイマー病を指を咥えて待っていても良いでしょうか。答えは”NO”です。
MediCogは、ニーズに合わせたアルツハイマー病やその他の認知症のリスク評価をおこない、将来の発症予防に向けたお手伝いをさせていただきます。

アルツハイマー病とは
認知症の中でおよそ2/3はもの忘れを主体としたアルツハイマー型認知症(AD)であることから、ADを早期診断し適切な治療を行うこと、またその発症を予防することは少子高齢化社会の重要な課題です。
アルツハイマー病における脳内の変化は、以下の3段階であると考えられています。
①アミロイドβ(Aβ)が神経細胞外に凝集
②過剰にリン酸化したタウ蛋白質が神経細胞内に凝集
③神経細胞の変性脱落
適切な検査によりアミロイドβの凝集(①)の段階から変化を捉えることは可能です。いち早くこの変化を捉え予防することが大切です。

認知症と経済的負担
国内でアルツハイマー型認知症が医療や介護にもたらすコストは、本人のみならず、家族に及ぶ影響も試算すると最大で年間12兆6000億円を超えるとされています。これはアルツハイマー型認知症の人1人当たり350万463円に当たります(Journal of Alzheimer’s Disease 81 (2021) 309–319)。認知症になることで生じるのは医療費のみならず、介護にかかる費用、介護による家族の就労・家事労働での生産性の低下による損失など多岐に渡ります。
認知症を予防し、健康で自立した生活を維持よう努めることとは将来的な経済的負担を軽減することにも繋がるのです。

認知症と相続・財産管理
認知症で問題となるのは健康面だけではありません。三井住友信託銀行が公表している推計によれば認知症高齢者が保有している資産の総額は、2020年時点で約255兆円(金融資産が約175兆円、不動産が約80兆円)とも言われています。
認知症の方が保有する上記資産は、適切な対策をしなければ、①望んだとおりの相続ができない、②相続人間でも揉め事が生じる、③節税対策もできなくなる、④そもそも銀行から引き出せない、といった様々な問題が生じ得るリスク資産といえます。
これらのリスクを少しでも減らすためには、意思能力・遺言能力を有しているうちに、適切な対策をして資産を守ることが非常に重要です。

